My Sunshine & Little Stars わたしのタカラモノ in London

カテゴリ:医療( 15 )




EBCC7 - ヨーロッパ乳癌学会

f0221040_1821975.jpgバルセロナで開かれていた第7回ヨーロッパ乳癌学会に行ってきました。といっても、外来の都合とブリティッシュエアウェイのストの影響で会期の半分以下の1日半の滞在でしたが・・・。

f0221040_18215345.jpg面白かったのはDebate討論の時間で、それぞれ2人の有名なドクターたちが二手に分かれてとある論点にたいして賛成チームと反対チームとして15分間「私の方が正しい。何故ならば・・・」といった風に主張する(オックスフォード式というそうな)。そしてそれぞれのサブのドクターたちがさらに5分間ずつ追加の主張をして、最終的に聴衆にYESかNOかの投票を促すのである。ま、とはいっても最終的な決着はつかなくて、今後も議論が必要だ・・なんてことになるのですが(ちなみに私が聴いたセッションの議題は「タモキシフェンの反応性(酵素活性遺伝子差)をチェックして使うのがよいか、誰彼にもAromatase inhibitorを使ったほうがよいか」についてでした)。議論が本当に好きな人たちである。

聴いたなかであと面白そうだと思ったのは、Cancer stromaのセッションで、これまでも本当にいろいろなmoleculeが大事だといわれてきている分野だけれども、Caveolin-1の話があった。この発表をした先生(アメリカ人)、これまで癌細胞のcaveolin-1発現を研究してきて15年、しかし思ったような結果が出ず。しかし、stromaに目を向けてみたら、実はこの発現が例えば、前立腺肥大のstromaでは発現なし。でも前立腺がんのstromaでは強発現。乳癌でもそうらしいし、治療反応性とも相関しているらしいとな。ふーむ。ニワトリと卵の関係で、癌細胞があるから間質細胞もおかしくなるのか、もともとstromaもおかしいのか・・その辺のところはよくわかりませんが、病理でみて、癌の中のstromaも「これは悪性だ」というような診断はできるのでしょうか?

あと、やはりいろいろな新しい薬剤の治験結果の話もありました。
VEGF antagonistのBevacizumab(Avastin)にはとっても関心がありましたが(実際使った患者さんで反応がよかった例があったので)、これまでのところProgression free survivalには有意差がでているけれども、最終的なOverall survivalには差がない、というのがいろいろな抗がん剤とのコンビネーションででた結果だそうだ。残念。やっぱり、癌細胞は人間の力量を超えて複雑すぎるんだろうか。

思いのほか、たくさんの日本人のドクターたちもはるばるいらっしゃってました。ざっと、抄録数とそのグループ集団をみていたら20人くらいはいたと思う。だーれも知っている人はいないなあ・・と思っていたら、唯一九州のR先生をお見かけした。向こうは覚えてないと思ったけれど、M先生を引き合いにだして話しかけたら話がつながった。3ヶ月投与と1ヶ月投与のLH-RH agonistのポスター発表をしておられた。
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私は今回ボスのポスター発表の代理ということで(彼は別の学会でなんと、日本に行ってしまったのである)学会に行ってこいといわれただけなのですが、次回2年後のウィーンのときは、自分自身の発表で行きたいものです。

(おまけ)
学会の昼休憩の間に、どうしてもここだけは見ておきたかったサグラダファミリア教会に行ってきました。前回訪れたのはまだ大学生だった17年前のこと。やはり本当にまだまだずっと建設中である。教会というよりもまるでお菓子の家のようで、へんてこりんで、美しく、温かく人々を圧倒する。
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by marikology14 | 2010-03-28 18:24 | 医療

かたや

週に一度、いつものボスとは違うコンサルタントの外来を手伝っている。これはdutyではないのだが、このDr Lの外来はいつも患者さんが溢れかえっていて大変そうなのと、個人的にこのDr Lはいい先生だと思っているからである。

さて、昨日の外来で73歳の女性を診た。5年前に乳がん手術。1年後、肝転移。ホルモン療法剤の変更、そして抗がん剤治療とカルテに書いてあった。で、肝切除。・・・えっ!?

通常遠隔転移に対する手術適応はないのだけれども(全身病と考えるから)、おそらくあまりにも肝臓に病変が限局していて長らく変化がなかったのだろうか、この患者さん肝右葉切除を受け、病理は見事に乳がん肝転移だった。

手術から2年後の今日。
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「ドクター、私なんだか前より元気になっちゃったみたいで、来週は10kmマラソンに出場するのよ。おほほほほ。」とにっこり。
頬はバラ色。

癌て気まぐれだな。
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by marikology14 | 2010-03-13 18:43 | 医療

どこまで

今やたくさんの抗がん剤があり、ある程度の(しかし基本的に転移固形癌を根治させる治療薬はないし、個々の腫瘍で反応性は違うけれども・・・)延命治療が可能となっている。けれども、ふと思うのだけれど、抗がん剤の治療自体、病院への通院や、治療の副作用など、けっして楽なものではない。ましてや家族から遠く離れての治療となるとその代償はかなり大きい。

去年の今頃、わざわざクウェートから患者さんが入院してきた(クウェートは国がこういう治療費を負担するからすごい・・)。30才そこそこの少女のような女性だった。4年ほど前の最初の乳がん手術、術後補助化学療法(FEC+CMF)に放射線、ホルモン治療というフルコース治療を自国で受けたにも関わらず2年もしないうちに転移が見つかった。去年には脳転移のためロンドンの別の病院に入院して放射線治療、カペシタビン、その後もドセタキセル+アントラサイクリンを受けていた。今回、すさまじく広範な胸壁再発と加えて象の足のようになった右腕リンパ浮腫、さらなる脳転移の治療目的で渡英した。(抗がん剤が進歩した反面、従来の肺・肝臓ではなく、脳や皮膚といった抗がん剤が効きにくい部位が問題となることが増えているように思う)。

結果からいうと、パクリタキセル、その後アバスチンの併用、など行ったが病状はゆっくりとではあったがじわじわと進んでいった。別のコンサルタントによるセカンドオピニオンも受けたが、患者さんとご主人にとって「治らない」ということが理解できないようだった。しかし気がつけばこのロンドンの病院に入院して7ヶ月も経っていた。いつも3人の幼い子供たちの写真が枕元に飾ってあった。
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可能性はものすごく低いという説明にも関わらず、別の抗がん剤を試してくれというご主人に、最初わたしのボスの教授は前向きなようだった。いつもはハッピーに彼の下で働いているのだれども、このときばかりは言葉にこそ出さなかったが思いっきり顔に「大・反・対」と書いてみた。そのせいかどうかはわからないが、どうにか彼らを説得して、翌週には飛行機や付き添いのナースも手配して帰国する手続きをとった。


その後、1ヶ月ほどして亡くなったと聞いた。
何が正しいやり方だったのかはまだ考え中だ。
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by marikology14 | 2010-03-10 05:22 | 医療

あなた次第

イギリスに来てから4年以上経つけれど、やはり英語はものすごく外国語である(あたりまえか・・笑)。いまだにドキッとする表現の中に、
"It's up to you.(あなた次第よ)" というのがある。
こう言われると、曖昧文化に慣れ親しんだ日本人としてはドキッとする。

職場でよく聞こえてくる会話。
抗がん剤治療の翌日に、好中球減少による感染症抑制目的でG-CSF(顆粒球増殖因子)の皮下注射をすることがあるのだが、うちのケモナースたちは患者さんにまず「自分でできるか?」と聞く。つまり自分で自分に注射できますか?ということ。もし、できなければ訪問看護婦を手配してもらい自宅で注射を受けられる。その際の決め台詞が、
"It's up to you?"
なのだ。だから、答えはよ~く考えないといけない。

最近、腫瘍科の秘書さんと話していて、
"What do you want?" と聞かれ、これまたドギマギした。
スタバなら答えは「えっと、トールサイズのカプチーノ」になるのだが、この場合の文脈として、
"What do you want (in your career)?"だったので、しばし答えるのに時間がかかった。
日本なら、「ええ、それはもう医局のお達しに従いたいと思います」になろうものだが、イギリスには医局制度は存在しない。つまり、基本的に一匹狼状態である。仕事のアドバートを日々チェックして履歴書を送り、運よくショートリストに残ったら、インタビュー(面接)を受けて仕事をゲットする。
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とはいえ、私の今の仕事はほとんど上司の縁でもらったようなもの。しかし、一年ごとの更新で年間予算の都合によりいつ終了するかもわからない。この夏で3年目にも突入する。

そろそろ、履歴書をブラッシュアップしておこう。
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by marikology14 | 2010-03-06 07:42 | 医療

システムどーん vs 草の根運動

現在、とあるNHS病院(いわゆる公立病院)の外来がん化学療法ユニットをメインに(+時々外来)仕事をしています。以前日本で働いていたときはもともと外科に所属していて、まだ「腫瘍医・腫瘍内科医」という分野が確立していない日本では外科医が手術のほかに化学療法をしているところがほとんどではないでしょうか。うす暗い外来の片隅で、自ら投与量を計算して薬のバイヤルを溶かして点滴バッグにつめていました(汗)。もちろん、医師がすべて点滴をとります。

現在の勤務先NHS病院。医師はコンピュータ上で患者の病状に応じたレジメと投与量を決定してプリントアウトしたものにサインをします。その後は、ありがたいことに、薬剤はすべて薬剤部専用クリーンルームで調整されたものが送られてきます。点滴治療は専門にトレーニングを受けた「ケモナース」たちがすべて行います。

話に聞くところによると、もと勤務先の日本の病院も、専用化学療法ルームが作られ薬剤も調整されたものが送られてくると聞きました。よかったです。いつの日か、ケモナースも登場してくることでしょう。

イギリス人は、「システム」をつくるのが上手です。
なんでかって考えてみましたが、いろんな人がいすぎるから・・というのが私の考えです。人種ももちろんのこと、「私は私の流儀でなにが悪い」という個人主義集団の中では、システム(決まり)をつくらないと収集がつかないということになります。頭のよい一部の人が、どーん!と決まりを作って、その中でみなが標準的な仕事をしていくというのが多いように思います。

かたや、私はほとんどの日本人は皆平均的に(あるいはそれ以上に)「信頼できる」と思います。ので、決まりを作らずとも、なんとかなるものです。が、やはり我慢にも限界というものがあって、あるいは、外国やら他のところの様子を観察しながら、だんだんと形を作っていくように思います。「草の根運動型」とでもいいましょうか。

そんなことをぼーっと考えていました。
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by marikology14 | 2010-03-02 05:33 | 医療

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